歯周病治療について
歯周病とは、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが破壊される病気で、 かつては歯槽膿漏と言われていました。
歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に細菌が入り、歯肉が炎症を起こし赤く腫れて、ブラッシング時に出血します。
しかし、痛みは全くありません。 さらに進行すると、歯肉の中にある歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けて、膿が出たり歯がグラグラしてきます。この時期になると、やっと痛みや腫れをともないます。
そして、最後には歯が抜けてしまいます。
その理由として、初期の段階ではむし歯のように歯に穴があいたり、痛くなったりと言ったはっきりとした症状が現れにくく、 かなり進行しないと、痛みや腫れと言う自覚症状が現れないからです。
さらに、日本人には歯の定期検診を受ける習慣があまりないこと、また歯周病を確実に治療できる歯科医が残念ながら 非常に少ないことなどが考えられます。一生自分の歯で咬むためには、むし歯の予防と同時に歯周病の予防と適切な治療が大切なのです。。
■ 歯周病の進行
1歯肉炎
歯肉溝にプラークがたまり、歯肉が炎症ではれて、歯肉ポケットになりました。まだ歯根膜や歯槽骨は破壊されていません。
2軽度歯周病
歯肉のはれが大きくなり、歯周病菌が歯周組織に侵入し、歯槽骨や歯根膜も破壊されはじめました。ポケットが内部に向かって深くなり、歯周ポケットになっています。プラークや歯石が歯周ポケットにたまっています。
3中等度歯周病
炎症がさらに拡大して歯槽骨も歯の根の長さの半分近くまで破壊され、歯がぐらつきはじめました。歯周ポケットもさらに深くなっています。
4重度歯周病
歯槽骨が半分以上破壊され、歯はグラグラです。
■ 歯周病の治療
歯周病の治療とは、1.原因除去 2.環境整備 3.定期健診の3つを正確に行うことが大切です。
それでは、歯周病の原因とは何でしょうか?
歯石でしょうか?加齢でしょうか?はたまた遺伝でしょうか?
もちろん細菌です。
口の中の細菌は300~500種類くらいいると言われています。
その中で歯周病の原因となっているのは10種類で、そのうちの4種類が歯周病の重症化の原因となっていると言われています。
南カリフォルニア大学の微生物研究所によると、
A.a菌が全体の菌のうちの0.01%
P.g菌が全体の菌のうちの0.5%
この数値を超えると、歯周病が重症化する危険が高いということです。
いままでは、細菌の質よりも量に問題があるということで、ブラッシング、スケーリング、ルートプレーニングに代表される物理的・機械的な細菌除去が治療の中心でした。
それで治癒する人がほとんどなのですが、同じことをしてもなかなか治癒しないケースが全体の5~20%くらいあります。物理的・機械的除去だけでは、治癒しないケースには、その細菌に効果的な抗生物質を投与するという治療法が、難治性歯周病の治療に効果的です。